新型コロナウイルス感染症とピル
「コロナが流行ってますけれど、ピルはのんでて大丈夫ですか?」
という質問を時々受けるので、今日はその話を。
新型コロナウイルス感染症になると、血栓症が発生しやすくなることがわかってきました。
血栓症とは、血管の内で血が固まってしまい、血が流れにくくなる病態です。
心臓や脳の血管で起こると心筋梗塞や脳梗塞になり、死亡することもあります。
血栓症の原因(=血栓性素因)になるのは、以下です。
・高血圧・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病
・喫煙
・肥満
・家族に血栓症になった人がいる/本人が過去に血栓症になったことがある
・エコノミークラス症候群の原因になるような生活をしている
(デスクに座りっぱなし、長距離移動で動かない、水分を取らないなど)
・妊娠中・産後
など
更に、ピル内服中も血栓症のリスクが上がります。
ピル使用者:8~9人/10000人
ピル非使用者:4~5人/10000人
このため血栓性素因のある人は、ピルは慎重投与あるいは禁忌です。
参考までに
妊婦:29人/10000人
褥婦:300~400人/10000人
新型コロナウイルス感染症とピルの関係については
今のところ指針はなく、学会からの声明もなく、研究論文もありません。
ですが、新型コロナウイルス感染症が血栓性素因のひとつとして並ぶのは
ほぼ間違いはないでしょう。
そこで当院では
「新型コロナウイルス感染症になった、あるいは感染が疑われる患者さんは
治るまでピルを中止しましょう。
コロナにかかっていない方は、そのままピル内服を続けて下さい」
という方針にしています。
あくまで現時点の、個人的な見解です。
#新型コロナ #ピル #血栓症