あの時、医学部の5年生でした。眼科の実習を回っている時でした。

その時刻は、アパートで寝ていました。

激しい揺れに目が覚めましたが、香川の揺れはそうでもないようでした。

台所の釣り棚にあったコップが落ちて割れる音がしましたが

「あーもういいや、起きたら片付けよう」と、そのまま眠りに落ちようとしました。

・・・と、待てよ。香川でこの揺れだったら、地震の多い神奈川の実家は一体・・・

飛び起きてテレビをつけました。

震源は関東ではなさそうです。

ひとまずほっとして、2度寝しました。

病院実習の朝は慌ただしく、いつものように大学へ行って

午前の眼科外来の実習を終えました。

お昼になって、いつも出入りしている生化学教室に行ったら

先生方が集まって、呆然とテレビを見ていました。

視線が集中する画面を見たら・・・阪神高速がばっくり割れて倒壊している光景が。

この時初めて、何が起きたのかを知りました。

実家が被災し、病院実習を休む同級生が出ました。

大学院生の先生方が、ボランティアで神戸に出かけて行きました。

暖房器具や毛布、古着を集める活動が始まりました。

繰り返し流れる阪神の光景を見るのが苦しくなり、テレビを見なくなりました。

一香川県人の、阪神淡路大震災の記憶です。