かつて、ブラック研修医でした
もう時効なので白状させて下さい。
20年以上前になりますが、今で言う「ブラック勤務」の研修医でした。
ひと月平均で、病院に25泊していました。
とにかく経験を積みたい一心でした。
産婦人科には分娩がありますので、必ず当直医がいるのですが
当直の先生には「何かあったらお呼びしますので、お産を取らせて下さい」
と断っておくと、喜んで任せてくれました。
自分より目上の先生が当直している状況で、好きなだけお産を取れるわけです。
分娩台帳に、自分の名前が載らない欄があるのが屈辱でした。
24時間以上病院から離れることはなかったのですが
自分がいないわずかな間に知らない症例があったりするのが許せませんでした。
「修行中の身で自宅で寝るなんて恥」と思っていました。
たまには友達とご飯を食べに出かけたりはしましたが
そのまま病院に直帰していました。
着任と同時に引っ越した時に買ったトイレットペーパーを
1年間で使いきりませんでした。
病院に住んでいるような生活でしたので、借りたアパートがほとんど無駄になりました。
でも、あんなことではいけなかったのです。
愛する産婦人科医療を守りたいなら
あんな無茶な勤務をして目の前の医療を死守するのではなく
誰でも長く続けられるような働き方を みんなでしなければならなかったのです。
「24時間365日勤務こそ正義」という洗脳の世界から覚めて
平成末期の今、こっそり懺悔します。