やさしい同級生の話
運動会の季節ですね。
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(40年前にタイムスリップ)
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今では平均身長を越えていますが、小学生の時は身体が小さく
背の順では最前で前から4番目でした。おまけに痩せてました。
小さいと身体能力も未発達ですから、駆けっこも普通に遅い方でした。
高校・大学と体育会陸上部だった私ですが、そんなわけで足が遅い人の気持ちもよくわかります。
なので、徒競走は憂鬱でした。
しかしそこは昭和時代の小学校、逃れられるはずもなく
嫌だけれども一生懸命走りました。
何着だったか覚えていませんが、後ろから半分だったと思います。
終わってしまえばこっちのもの、続く級友たちの走りを見ていました。
親友のゆきちゃんの順番になりました。
ゆきちゃんは動物が大好きな、人並み外れてやさしい子で
子供ながらに「あの心のきれいさはちょっと叶わないな」と、心の奥底で畏敬の念を抱いていました。
時のえらい人が亡くなったというニュースを見ても「ふーん」という感じでも
そのえらい人が、「亡くなる前に庭に来る小鳥たちに餌をあげていた」というナレーションが入ると
一気に涙ぐんでしまうような、やさしい子です。
いよいよゆきちゃんのスタートです。
「位置について。よーい、パァァン!!」
わーっっ、とみんな一斉に走りだします。
「ゆきがんばれ~~~!!」
みんな大声を出して自分の友達を応援しています。
ゆきちゃんの順番は3着目くらい、このままゴールか、
と思ったところで、ゆきちゃんと並んで走っていた子がステンと転びました。
「あっ!」と観衆は声を上げますが、他の走っている子は止まれません・・・
と思ったら、ゆきちゃんは急停止して振り返り、転んでいる子に駆け寄りました。
これにはみんなびっくり。
後で聞いたら母も感動して
「どうやったらあんなやさしい子に育つんでしょうね」とため息でした。
いつも一緒に帰って、放課後はお互いの家に遊びに行って
一緒におやつ食べて犬と遊んでピアノ弾いているゆきちゃんが お母さんたちに褒められて
なんだか誇らしい気持ちになったのでした。
今思い出しても、あのやさしさはすごいと思います。