乳腺診療との関わり
8年前の今頃、マンモグラフィー読影認定医を取りました。
乳腺は、産婦人科の専門領域のように思われがちですが
実は乳腺外科が専門科で、産婦人科医は産後の乳腺炎くらいしか縁がないのです。
当時赴任した病院が乳がん検診に力を入れていて
女医だし乳がん検診に携わってほしいと勧められ、勉強しました。
判断に迷ったらすぐ相談できるところに乳腺外科の先生がいましたので
力をつけるには恵まれた環境でした。
乳腺の解剖や病理から勉強しなおして
患者さんに乳腺のことを聞かれても大抵のことを答えられるようになるまで、3年かかりました。
その間、4人の乳がんを見つけました。
空恐ろしくなりました。
本来は専門外の上、3年前までは学生レベルの知識しかなかった自分が乳がんを見つけることに
底はかとない恐れを感じました。
ある時、母にそう話しました。
「何だか空恐ろしくて・・・」
とこぼすと、返って来たのは叱咤でした。
「何を言っているの。怖いなら、怖くなくなるまで勉強なさい」
怖くなくなるまで、必死で勉強しました。
幸運なことに、マンモグラフィーの指導医の先生が放射線科に赴任されて
仕事が終わってから「特訓」して頂きました。
気がついたら、怖さが消えていました。
臨床は常に怖いもの、という真っ当な畏れはありますが
消極的な不安は、もうありません。
この域に達するまで、6年かかりました。
今、乳腺診療から離れてしまって、ちょっと残念です。
学問としても面白いので、またどこかで交われるといいのですが。