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院長ブログ

アラサー時代の更年期外来

大学病院の更年期外来を初めて担当したのは平成10年、当時アラサーでした。

「こんな見た目で経験年数の浅い自分に、いったい何ができるのか?」

真剣に悩みました。

まずは勉強しまくります。これは当たり前。

次に、私が産婦人科医として憧れ規範にしている女性の先生の更年期外来を見学して

技を盗もうと考えました。

しかし更年期診療は心理的色彩が強く、

しっかりと取り組めば取り組むほどカウンセリングの場のようになります。

カウンセリング的診療では、患者さんと治療者以外の第三者がその場にいると空気が変わってしまい

本来の診療と微妙にずれてしまう可能性があります。

従って却下。

仕方なくひたすら勉強をし続け

ある時、臨床心理士さんの書いた本にたどり着きました。

 

臨床心理士さんも、年齢とは無関係にクライアントと接しないとなりません。

臨床心理士さんが若く、クライアントが自分の親くらいの年齢でも

プロフェッショナルとして話に耳を傾け、共感し、悩みを解きほぐしていかないとなりません。

そこで出会ったのが、こんな話でした。

若い女性の臨床心理士さんが年配のクライアントを担当した時に

当時の私と同じように悩んだそうです。

そこで先輩心理士さんから

「賢い娘役を取れ」

というアドバイスをもらって、うまく行ったという例でした。

 

私はそれを実行しました。

更年期外来にいらっしゃる患者さんたちに、「賢い娘」のように接しました。

女性の先輩としての患者さんの話に耳を傾け

「こんな治療法があるんですよ」と提案していく、という構造です。

果たしてあれが正解だったのかどうか、今となってもわかりませんが

百点満点ではなかったとしても、当時の自分にできる精一杯だったように思います。

 

今ですか?

今は自分が更年期ですので、患者さんに

「最近、疲れるんです」と言われても

「そら疲れますよ」で納得して頂けるようです(笑)